リレーエッセイvol.13  『30周年によせて』  船戸陽子
 
      30年前、荒野におりたった6人の開拓者はその地がやがてこんなに
     豊かになると考えていたのだろうか。
     
      唐突にワインの話をしよう。ワインというのは勿論葡萄をつくるところ
     からはじまる。材料の葡萄を買い付けて、樽につめてはい、発酵して
     できあがり、というわけにはいかないのだ。葡萄の木は1本植えたら
     いい実をつけるには20年かかるといわれている。ということは今ワイ
     ンがつくれるのは20年前の努力の賜物であり、今の努力は20年後の
     ワインのためなのである。さらに日本で、ということを考えると道はさ
     らに困難だ。なにしろ高温多湿はワイン用の葡萄にとって最大の敵
     なのである。その気の遠くなる手間や過程を考えるとワインって安い
     よなあ、と思う。
 
      女流棋界も同じ?
 
      1本の葡萄の木からおいしいワインをつくるように、女流棋士界をつ
     くりあげてくださった先輩方、そしてそれにご助力ご尽力くださった皆
     様には感謝の気持ちでいっぱいです。そして、ほんとにほんとに微力
     だけれどさらに先の30年後のために私もなにかできたらいいなと思
     っています。女流棋界という名のシャトーがさらに発展しますように。