リレーエッセイvol.5『理想』  中井広恵
 
    女流棋士発足30周年記念パーティーには、大勢の皆様にお越しいただき
   ましてありがとうございます。実行委員として、これほど嬉しいことはありませ
   ん。例年の親睦会に比べ準備が大変でしたが、予定をはるかに上回るお客
   様の姿を拝見して、本当に感無量でした。
    蛸島先輩をはじめとする一期生の方々がつくったこの女流棋界ですが、今
   では50人を越える棋士が誕生しています。私は棋士番号17番ですので以降
   にもう30人以上増えている訳です。 棋力向上はもちろんのこと、華のある
   女流棋士をどんどん増やして、魅力ある女流棋界にしたいなぁと思っています。
    今年の小学生名人戦では、5年生の女の子(伊藤沙恵ちゃん)がベスト4に
   入りました。彼女は、私が準優勝した時のようにまぐれではなく、ちゃんと実
   力で勝ち上がっています。沙恵ちゃんなら、正会員の四段になれるのではと、
   期待しています(あまりプレッシャーをかけてもいけませんが)。将棋連盟には、
   これから増えてくる有望な女の子達のために、勉強しやすい環境づくりを是非
   お願いしたいと思います。
 
    私としても、自分自身ができる限りのところまで頑張って、男性棋士との差
   を縮めることがこれからの女流棋界につながると思っていますが、最近では
   成長どころか後退している気さえしています。いつまで経っても手探り状態で、
   先を読む商売なのに自分の未来は予測すらつかず、困ったものです。
    現在、女流王将戦の最中ですが、良い将棋を指して皆さんに喜んでいただ
   けるよう頑張りたいと思います。
    実は、私は未だかつてまだ一局も自分で満足できる将棋が指せていません。
   勝つには勝っても、甘い手があったり、逆転だったり。初手から無駄な手がな
   く、完璧な指し回しができたら・・。もしかしたら、生涯で一局も指せないまま
   終わってしまうかもしれませんが、なんとかそれに近づけるよう、精進してい
   きたいと思います。