リレーエッセイvol.1 「女流棋士30周年に思う」蛸島彰子
 
    
    漠たる希望、漠たる不安、正にそんな気持の中での
   女流プロ制度の発足でした。
    たった6人の仲間、女性には向かないと言われてきた
   将棋のしかもプロ、ともすれば不安が希望を覆いそうに
   なりながらも規模、内容ともわずかずつでも成長しなが
   ら30年を迎えることになりました。
    その一歩一歩に現役として関わってこられたことは素
   直にうれしい。30年、長かったという反面あっという
   間だったという感慨が同じようにあります。
    今後とも女流棋界は途絶えることなく時には静かに又
   時には激しく歴史の足音を響かせ続けるでしょう。
    “山高きが故に貴からず”という言葉がありますが、
   それは組織や人についても言えること、ただ長ければよ
   いというわけではない。
    女流棋界に席を置く一人一人が一つの大きくて貴い歴
   史を作り上げてゆく大事な役割を果たす喜びと責任を感
   じて歩み続けることが大切だと思います。
    個人的には私もこれから現役としてその役割を果たす
   時間は確実に短くなってきていると思いますが、常に新
   しい意志と強い意欲を持って努力を続けたいと思ってお
   ります。