私と将棋村田智穂
「趣味と特技」村田智穂
 
今まで、いろんな自己紹介欄の趣味と特技は?という質問を何回も
書いた記憶がある。
 
小さい時は、趣味と特技の違いがわからず、どちらも『将棋』と書い
た。趣味と特技を別々に書いている子がほとんどで、皆なんで違う
のかな?とよく思ったものである。学校の休みの日はほとんど道場
や大会に行っていたし、宿題が終わった後、詰め将棋と棋譜並べは
ほぼ毎日していた。高校まで友達と遊ぶのは、放課後や平日で午
前中に終わった日とかがほとんど。今考えても、趣味と呼べるのは
将棋だったし、得意なものも将棋だっ た。私にとって将棋は自然と
隣にあるものだと思う。
 
将棋と出会って、そして女流棋士という立場になって驚いた事が沢
山ある。色々な事もたくさん体験させていただいた。
実は女流棋士になるまで、沢山のイベントや大会で女流棋士を見
たり、指導対局を受けていたくせに、漠然と『女流棋士になっていっ
ぱい将棋を指 す』としか考えてなかった。自分が女流棋士になると、
大勢のお客様の前での対局、聞き手、読みあげ、トーク。記録係付
きの対局、講師、テレ ビ、指導対局、執筆など、いろんなお仕事。
女流棋士は、将棋の強さはもちろん、話のおもしろさ、聞きやすさ、
文章の読みやすさ、親しみやすさ等など必要だと思った。
いつも先輩のお仕事姿を拝見して、さすがだなと思う。
 
私はまだ女流棋士になって4年目。少しづつ慣れて来てはいるが
まだまだ緊張でからまわりしていたり、失敗する事が多く、主催者
やお客様には申 し訳ない気持ちでいっぱいになる時も多々ある。
でも、いつも楽しいと思える。疲れる事はないといったら嘘になる
が、終わった後は充実感でいっ ぱいになる。
対局が出来るのはもちろん、貴重な体験をさせて頂いて、しかもい
ろいろな土地へ行きいろいろな方とお会い出来る。本当に女流棋
士になって本当 に良かったと思う。ちょっとずつでも成長していけ
たらなと思う。
 
ただ、女流棋士になって変わったなと思う事、それは勝ち負けに
こだわる事だろうか。女流棋戦は初めは全部予選トーナメントで、
全て負けると年 間六局だけだ。勝ってこそ沢山の対局がつくから
勝ち負けにこだわるのはしょうがないかもしれない。
 
大きくなるにつれて誘惑も多くなって、趣味は?と聞かれ、カラオ
ケ、お菓子作り、ショッピングと答えるようになった。
小さいころの方が、将棋に対して真剣だったし、楽しんで指してい
たかもしれない。
だが、気付けば忘れかけている『将棋の楽しさ』を思い出させてく
れるのは、子供達との指導対局や触れ合い。キラキラと目を輝か
せて、将棋を指 すと楽しいなって気持ちが伝わってくる。子供の時
の気持ちを思い出しながら、これからも『将棋』と仲良く付き合って
いきたいと思う。