私と将棋鈴木環那
「父との約束」鈴木環那
 
最近ふと思い出した事があります。それは父と交わした約束。
 私は小さい頃、たくさん習い事をしていました。ピアノ、水泳、書道、
通信学習2社。特別自分からやりたいと思ったわけでもなく、すべて
仲の良かった友達の影響。小さい頃の夢は弁護士、これも母が『弁
護士はいぃわよぉ〜♪カンナは頭がいぃから将来弁護士になれる
わょ』と言った影響。(親バカです…笑)今振り返ると自分の意志は
どこにもなかったように思います。小学校の低学年なら当たり前な
のかもしれませんが…。
 
 そんな私が将棋と出会ったのは小学三年生がもぅすぐ終ろうとし
ていた頃でした。NHKの“ふたりっ子”というTVドラマを家族で見て
いて、『私、香子ちゃんみたいに強くて輝いてる人になりたい!!』
と思ったのです。父も将棋好きだったので、『カンナ、香子ちゃんみ
たいになりたいのならプロになれ』と。その日から私は将棋の猛特
訓。近くに住んでいる親戚の伯父に将棋のルールを教わったり、お
友達を家に招いて一緒に将棋の勉強をしたりしていました。
 
 丁度その頃から何度も何度も父が私に言った言葉…それは『やり
たくない事や自分にとって必要ではないと思う事は無理してやらな
くてもいい。ただ、自分がやりたいと思う事や将来の夢、目標を決し
て途中で諦めてはいけないよ。人生は自分の思った通りになる。自
分を信じて諦めない事が一番重要なんだ。わかるかぃ。これはお父
さんとの約束だ』 
 将棋の道はそんなに大変なのかぁ…??父の言葉の重さを空気
で読み取っていた私はワクワクしながらも、ちょっぴり不安でした。
ただ父の真剣な眼差しに押されて『ぅ…うん!わかった!!頑張る
!!』と。
 
 あれから七年が経ちます。気がつくと今の自分が立っていた…。
そんな感じです。辛い時、苦しい時、悔しさでいっぱいの時、自信を
失いかけた時…いつも自分に言い聞かせている言葉は『諦めちゃ
いけなぃ!絶対に諦めない!』 父との約束は今もなお、しっかり
守っています。そんな三年生の冬に交わした約束を電車に揺られ
ながら思い出して、よしっ!頑張ろう!とつぶやいていました。
七年間私を支えてくれた“父との約束”はこれからもずっと、私を励
まし支え続けてくれるでしょう。