ここだけの話〜清水市代2〜
 
不器用なんです
 
−−プロに入られてからは、傍目から見ると順調な感じなんですけど、ご自身の 意識として
   はどうですか。なる前と実感として違うところありましたか。
清水「ほんとに好きで将棋を指しはじめて、女流もプロの世界があるってことで入って夢中で
    やってきたんで、育成会の時とプロになった時と、将棋が違うとか意識が違うっていう
    のは、あまりなかったかな。環境は全然違うんだけどね、記録係がついたり。世間知ら
    ずすぎて。とにかく目の前の対局を指して、勝って、タイトルとるのが目標っていう意識
    が強かったので、そんなに感じなかったのかもしれません」
−−なったときから前を見て、タイトルとるのが目標でやってらしたんですか?
清水「そうですね、怖いもの知らずだったってのもあって。どのくらい将棋が奥深くてこういう
    世界が大変なものかもわからずに。タイトルとってからかな、いろいろ考えたり悩んだり
    っていうのは」
                      写真提供・囲碁将棋チャンネル
−−苦しいとかやめたいとか思うことありますか。
清水「将棋を指すこと自体は、父が楽しいものだって教えてくれて、押しつけられたことがな
    いから、つらいとかってないのね。ただ、女流棋士として、つらいと思ったりやめたいと
    思ったことは何度かありますね。自分の行動が誤解されたり、理解してもらえなかった
    り、っていうのがあったときは」
−−・・・ちょっと誤解されやすいタイプですかね。
清水「何で、長く見てきて?(苦笑)」
−−いや、なんかあの、律してる感じがするんで。将棋界っておつきあいがフラ ンクじゃない
   ですか。仲いい人はよく飲みに行ったりとか遊びに行ったりとか。 いつかやる相手だと
   思うと親しくつきあいづらい、って意識して距離を置いたり とかそういうところありますか。
清水「わたし不器用なので、人を信じたらとことんつきあいたいのね。中学の時の親友ともも
    うずっと長いつきあいだし。将棋界の人は盤を挟んで向かう相手なので、そのとき自分
    がほんとに勝負に徹することができるのか、できないかもしれない、っていう不安があっ
    て、うんと親しくなることがちょっと怖くて、ずっとこのス タイルできちゃったところはある」
−−しかもわりとしゃんとしてらっしゃるし。
清水「しゃんと、とは?(笑)」
−−姿勢もいいし。
清水「あ、ありがとうございます(笑)」
−−声かけちゃいけないかもっていう雰囲気があるかも。
   将棋界の人と遊びに行 ったりすることありますか?
清水「ないですねえ。特にタイトルをとるようになって、時間的になくなってきた部分もあるん
    だけれども、対局でしか連盟に行かないと、ね、なかなか行く機会がないね」
 
 
時間を多くかけてるだけ
 
−−男性棋士と指す機会も増えてますが、女流棋戦と意識は違いますか。
清水「持ち時間が違うので、ちょっとゆっくり指せるかな。一手にかける時間がとれるので余
    裕が保てるというか」
−−持ち時間が違うの大きいですよねえ。
清水「大きいですよね」
−−じゃ女流棋戦も長くなったら違うかなって思われますか。
清水「それはね、たぶん長ければ長いほど楽しいかなと思うけど、逆に5時間6時間あると体
    力的なものとかもあるので、またむずかしいところ」
−−清水さんと中井さんは、男性棋戦でももうイベ
   ント的な対局って感じじゃなくて自然に指してる
   感じで、対局室でも違和感がないって聞いたん
   ですけど、逆にいうと、お二人だけそうやって別
   次元に入っていかれてて、他の人がついてい
   けてないのかなって気がするんですけど。
清水「そんな自己暗示かけてどうするの(笑)」
−−いやいや・・もうずーっとおふたりでトップにいら
   してどうですか。ってご本人に聞くのも何なんで
   すけど(笑)。
清水「どうですかね・・でも勝負はいつも紙一重です
    からね。たとえば注目の若手とか新人とかい
    ますかって取材受けるんだけども、まだ自分
    がそんな環境じゃないし、棋力的にも上を目
    指していきたい。だからあんまり振り返ってる
    余裕もないし、評価するような立場でもないと
    思ってるんで」
−−逆にいうと意識したくなくても入ってくるような脅かす人がいない、って ことでもあるんじゃ
   ないですか。
清水「いや、でも結局挑戦者になってくれば目の前に座るから、するしないより、せざるを得な
    くなるんだけど。まあでもあんまり、盤上以外のことをとやかく思わないようにしてるんで」
−−でもやっぱり端から見てると、
清水「端?端なの?(笑)」
−−まあ、端、という立場で(苦笑)考えると、やっぱり中井さんと清水さんは元々強くて、その
   上いろんな場もあって、ご自身の意識の高さもあるし、どんどん前に進んでいかれてて、
   おっかけて捕まえなきゃいけないのかもしれな いけど、みんなも目の前一生懸命で・・。
清水「でもわたしの場合は、元々強かった訳じゃないから。当然最初は初心者だし、それから
    夢中でやってきて、それだけ将棋に時間を多くかけてる、ってことかなあ。才能がどう、
    とかでもなくって、それだけ、だと思うけどな」
−−だけ、っていってもそれがすごいことだと思うんですけどね。
清水「そういう自分になれる環境があったことは幸せだと思う。家庭環境もそうだし、まわりの
    環境、友だち、とかも、将棋に打ち込めてしまう環境があったので」
 
 
周りに恵まれてます
 
−−じゃあたとえば仕事でつらいことがあったときとか、対局負けたとか、そう いうときに、昔
   からのお友だちに愚痴ったりしますか。
清水「基本的に愚痴は、出さない。なんでかっていうと、聞いてる方がいい気分じゃないのと、
    言ったときは一瞬いい気分かもしれないけど、あんなこと言っちゃった、とかあとで自己
    嫌悪に陥っちゃうから。自分が口に出したことは、なんか現実になりそうな、っていう気
    持ちも強いのと、大事な人にはいやな思いさせたくないっていうのがすごく強く昔からあ
    るので、いわない」
−−あー、じゃあご家族にも。
清水「うん、いわない」
−−じゃあどうやって発散しますか。
清水「うーんと、お風呂入って、」
−−え?(笑)
清水「お風呂入ったり運動したり、ウォーキ
    ング程度だけどスポーツとか。精神的
    なこ とは体を動かすことで発散してく
    タイプかな。ポジティブなほうなんで」
−−でも、それで本当に自分の中で処理
   できますか?処理できたことにしちゃ
   う、って感じ ですか。
清水「ううん、一個一個突き詰めて解決していく。いやだな、と思ったことにそのままふたをし
    てしまっておくと、いつかぱかっと開いて出て来ちゃうので、一つ一つつらいけど向き合
    って、消化するようにしてきた。いちばんむずかしいのは人間関係かなあ。答えが出な
    いものはいくら考えてもだめで、しょうがない、ってどこかで割り切るところはあるけれど。
    将棋に関してはね、一手一手自分で突き詰 めていけば何とか答えが出せる場合もある
    けれどね」
−−そうやって一人で生きていけそうな感じがあるから、声かけづらいのかもし れない。
清水「そんなことないんだけどね。そういう自分でいられるのも、周りにいい人、両親とか友だ
    ちがいてくれるから。ずっと茶道もやってきてますけど、お茶のお師匠さんもその関係の
    お仲間も、話を聞いてくれたり。いい人に恵まれて助けられて ます」
−−うーん・・ほんとにそれで、大丈夫なんだろうか。
清水「うん、意外と、大丈夫なの」
−−そうですか。
清水「将棋の関係の方は、勝ち負けに一喜一憂しちゃうでしょ、どうしても。タイトルあるなしっ
    ていうのですごく、周りのほうが気を使ってくれたりするけれど、そうじゃない世界の友だ
    ちとか、茶道の方たちは、わたしが4冠だろうが無冠だろうが変わらなく接してくれるか
    ら、一人の清水市代として、すごく救われるところはある」
−−今回、清水さんがこれまで答えてこられたインタビューをいろいろ読ませて いただいて、
   なんかどこをとっても完璧な感じっていうか優等生な感じっていうか・・・。でも、ご自身
   の中で堅苦しさとか自分はこうしなくちゃいけないとか じゃなくて、自然のスタイルなん
   ですか。そんなに無理ない生活サイクルなんで しょうか。
清水「無理はしてませんね。時間はもっとほしいなと思うけど(笑)」
 
 
ホームページはいつも見てます
 
−−じゃあこのホームページをご覧になる時間はありますか。
清水「うちにいるときは見てます。だって楽しいんだもん(笑)。画面も内容も明るいからいいな
    あと思いつつ、ついつい時を過ごしてしまいます」
−−写真がきれいっていう評判を最初すごいいただいて。
清水「そうね、写真はファンの人もすごくうれしいと
    思う。わたしも他の人の見ててうれしかった
    し。カレンダーとかもね、見やすいしきれいだ
    し、いろんな人の個人情報もわかりやすく載
    ってるでしょ。あーすごいな、ホームページ係
    えらい!と思って(笑)」
−−あはは、ありがとうございます。
清水「それだけ係は大変だろうなあと思う。見る側
    は常に新しいものを求めるでしょ?いくら時間
    費やしても足らないだろうな、欲出したらきり
    ないだろうな、って」
−−スタンスとしては、女流棋士全体の応援ペー
   ジを作ってるような感じなんですよ。
清水「だからそういう思いが画面に出てるのかな
    あ、ほんわかしてるよね」
−−あまり批判を見たことがなくって、見られてな
   いってことかしらとか、逆に 不安になっちゃった
   りして。
 
清水「今までなかったものだし、あること自体みんなうれしいのかな。いいものならなおさら欲
    が出てくると思うから、これからいっぱい注文出てくるのかなあ。でも 今はみなさん(紹
    介してくださるときも)いいふうに書いてくれるし載せてくれ るし、ありがたいですよね」
 
                             (インタビュー・文 大庭美夏)
 
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